握り方だけで効き方が変わる|プルは「小指側」、プッシュは「手のひらに乗せる」だけで変わる

筋トレでよくある失敗のひとつが「なんとなく握っている」こと。実は握り方をほんの少し意識するだけで、狙った筋肉の感覚が劇的に変わります。この記事では、プル系(引く種目)とプッシュ系(押す種目)それぞれの握り方のコツ、なぜ効き方が変わるのか、すぐ試せるドリルと注意点まで、現場で確実に使える形で解説します。

結論(まずはここだけ覚えておく)

  • プル系(懸垂、ラットプル、ローイングなど)→ 小指側に力を寄せる:肘の引き方と前腕の連動が良くなり、広背筋(ラット)を使いやすくなる。
  • プッシュ系(ベンチプレス、プッシュアップ、ショルダープレスなど)→ バーを「手のひらに乗せる」:力が真っ直ぐ伝わりやすく胸や肩に効かせやすくなる。

なぜ握り方で効き方が変わるのか(簡単に解説)

握り方は「力の伝達経路」と「関節の角度」を決めます。小指側に力を寄せると前腕と肘の位置関係が変わり、肘がより体側に下がる感覚(肘の引き)が出やすくなるため、広背筋や肩甲骨周りを使いやすくなります。一方、バーを手のひらに乗せて押す(ヒール・オブ・パームで押す)と、手首が安定して押す力が胸や三角筋に素直に伝わります。

プル系:小指側に力を寄せる具体的なやり方

  1. 握りの位置:バーを握るとき、意識的にバーを小指寄り(小指の付け根あたり)に移す。握幅は種目に応じて調整。
  2. 引く時のイメージ:顎を引くのではなく、肘を下に引き込むように(肘を腰のポケットに引き込むイメージ)。
  3. フォームチェック:引く瞬間に「小指で引く」感覚があるかどうか。もし前腕に無駄に力が入るなら小指側をさらに意識。

種目別のコツ

  • 懸垂/ラットプルダウン:バーを握ったら一度「小指を締める」イメージでバーを押し潰す。引くときは肩甲骨を下制してから肘を引く。
  • シーテッドロウ/ベントオーバーロー:グリップを少し小指側に寄せ、バーをおへその横(脇の下)に引く。背中で引いている感覚を探す。

プッシュ系:手のひらに乗せて押す具体的なやり方

  1. 握る深さ:バーを指先だけで握らず、バーを手のひらの「かかと(heel of palm)」に乗せる。これで手首が立ち、力が直線的に伝わる。
  2. 押すイメージ:押す瞬間に「手のひらの真ん中〜かかとで地面/バーを押す」感覚。指先で握って押し上げると肩や三頭筋に逃げやすい。
  3. 手首の角度:手首を反らしすぎない。手首が折れると力が逃げるので、手首〜前腕〜肘が一直線になるように。

種目別のコツ

  • ベンチプレス:バーを手のひらの下の方に置き、押す時は「かかとで押す」イメージ。胸で押している感覚が強くなる。
  • プッシュアップ:手のひら全体で床を押す。指に体重を乗せすぎない。
  • ショルダープレス:バー/ダンベルの重心を手のひらの中央に乗せ、肘のラインを崩さずまっすぐ押す。

すぐできる感覚トレ(3つ)

  1. バーを持って静止→小指側に重心移動:軽いバー(またはダンベル)を持ち、1分間小指側で握る感覚を確認。
  2. 5秒ネガティブ:ラットプルやベンチで軽めの重量を選び、下ろす局面を5秒でやる。感覚が分かりやすくなる。
  3. 片側ずつ鏡でチェック:左右の握り方・力の入り方を鏡で確認。左右差があれば握り位置を微調整。

よくあるミスと直し方

  • ミス:指先だけで握る(引くときに前腕が先に動く)
    直し方:小指を意識して握り直す。軽い重さで繰り返し練習。
  • ミス:手首が折れる(プッシュ時)
    直し方:バーの位置を手のひらに深く入れ、手首〜前腕が一直線になることを確認。
  • ミス:力を入れすぎて肩で代償する
    直し方:重量を落としてフォームを優先。肩甲骨の位置を整えてから動く。

トレーニングプラン(1週間の簡単ルーティン例)

フォーム習得期間(2〜4週間)は重量を落とし、1種目あたり3セット×8〜12回で丁寧に行うと効果的。
プル系(火曜)→ ロー系+懸垂 / プッシュ系(木曜)→ ベンチ+プッシュアップ のように分けて取り入れてみましょう。

まとめ:意識1つで効き方は変わる

握り方は小さな調整でありながら、ターゲット筋の感覚を劇的に変える要素です。プル系は「小指側に寄せる」プッシュ系は「手のひらに乗せて押す」——まずは軽い重量でこの2つを練習してみてください。1週間続ければ「違い」が必ず分かります。

行動の呼びかけ:今日のトレーニングで片側ずつ10回ずつこの握りを試してみて、感覚の違いをメモしてみましょう。

👉合わせて読みたい記事
【背中トレーニング必須】パワーグリップを使うべき3つの理由!握力に頼らず効かせる方法
胸板を厚くする方法|構造を知れば効率的にデカくなる!おすすめ筋トレ3選も紹介
【筋トレ初心者必見】10回×3セットの腕立て伏せだけでは胸板が厚くならない理由と解決法