筋トレは魅力的だけど、重さを扱う以上「怪我」は常に隣り合わせです。特に腰痛や腰のぎっくりはトレーニングの継続を一気に止めてしまう厄介なもの。だからこそ怪我をしないテクニック=腹圧(ふくあつ)を正しく使うことが何より大切です。本記事では「腹圧とは何か」から「具体的なかけ方」「種目での使い方」まで、初心者でも分かるように丁寧に解説します。
なぜ怪我予防が最重要なのか?
筋トレの目的は筋力や見た目の改善だけでなく、日常生活での動作を安全に行う力をつけること。怪我をするとトレーニングが止まり、回復にも時間がかかり、モチベーションも下がります。特に腰の怪我は再発しやすく、生活の質に直結するため未然に防ぐことが大事です。
「腹圧」とは何か? — 簡単な定義
腹圧とは、胸郭と骨盤の間にある腹腔(お腹の空間)に内側から圧力をかけて体幹を安定させることを指します。具体的には
- 横隔膜(上)
- 腹横筋・腹斜筋(側面)
- 骨盤底筋(下)
- 多裂筋などの背部筋(後ろ)
これらが協調して“胴体を固める”ことで、腰椎(腰の骨)にかかる過度な前後・ねじれの力を軽減できます。
腹圧のメリット
- 腰椎の過剰な可動を抑え、腰痛やギックリ腰のリスクを下げる
- 重い荷重を安全に扱えるようになり、力を発揮しやすくなる
- 呼吸と連動し、安定したフォームを保ちやすくなる
腹圧の正しいかけ方
以下はジムでも家でもできる基本ステップ。まずは鏡や寝た状態で感覚を掴んでください。
ステップ0:呼吸の準備
鼻で深く吸って、腹(おへそのあたり)に空気を入れるイメージ。胸だけで吸い込む「浅い呼吸」にならないように注意。
ステップ1:軽く息を吸う(腹を膨らませる)
鼻から自然に息を吸い、腹部を横に・前に軽く膨らませます。胸は張りすぎずリラックス。
ステップ2:“腹を固める”イメージでブレーシング
吸ったままの状態で「お腹を前後左右から押し返す」ように腹筋に力を入れます。力の入れ方は“パンツのウエストをきつく締める”ようなイメージ。力を入れても息は止めすぎず、短時間での保持を意識。
ステップ3:骨盤底〜肋骨をつなげる意識
骨盤底(おしりの奥の方)を軽く引き上げる感覚と、肋骨下部を閉じるような感覚を同時に保つと安定します。
ステップ4:動作中の呼吸
完全に息を止め続けるのはNG(特に高血圧の人は注意)。重いセットの“ピーク”では短く息を止める(ヴァルサルヴ)ことが力を出しやすいですが、基本は少しずつ息を吐きながら腹圧を維持する練習をしましょう。
実際の種目での使い方(例)
- スクワット:バーを背中に載せたら吸って腹を固め、しゃがみ→立ち上がりで腹圧をキープ。膝やつま先の位置も確認して腰を丸めない。
- デッドリフト:床を押すイメージで腹圧を入れ、背中の角度を保つ。腰が丸まりやすい場合は重量を落としてフォーム練習を。
- ベンチプレス:肩甲骨を寄せて胸を張った状態で腹圧をかけると、肩・胸の安定感が増します。
よくあるミスと注意点
- 「お腹をへこませる(hollowing)」だけに頼る:腹横筋を単にへこませる方法は、重負荷時には不十分。**ブレーシング(全方向から固める)**が重要です。
- 息を完全に止め続ける:長時間の息止めはめまいや血圧上昇の原因に。特に持病がある人は注意。
- 力任せに首や腰で持ち上げる:腹圧で胴体を安定させ、正しい関節の動きを意識すること。
練習ドリル
- 壁にもたれて立ち、深呼吸→腹を固める→そのまま90秒キープ(慣れたら重量無しスクワットで同じ動作)
- フロントプランクで呼吸を忘れずにブレーシング(30〜60秒)
- ブリージング・バンド:軽いチューブを腹部に巻き、呼吸と腹圧の感覚を養う
最後に
腹圧は「ただお腹を固めるだけ」でなく、呼吸・横隔膜・骨盤底・腹横筋が連動して初めて機能するテクニックです。初心者はまず軽い重さで反復して感覚を掴み、フォームと呼吸を常に優先してください。腰の怪我予防に直結する技術なので、習得しておくと長期的に大きなアドバンテージになります。
不安が強い場合や痛みがある場合は、理学療法士やトレーナーにフォームをチェックしてもらうのが安全です。今日から取り入れられるシンプルな練習を続けて、丈夫でカッコいい体を目指しましょう!

